夏の風物詩といえば色々と連想できるが、個人的に『甲子園』が一番最初に頭に浮かぶ。
私は学生時代に吹奏楽部に所属しており、無料出会い系サイトの時期になると甲子園を目指す同級生の球児達を応援するために球場へ足を運び、一生懸命楽器を吹き鳴らしながら応援してみんなで一緒に汗を掻いた。
しかし甲子園の道は険しく、負けてしまうとみんなで涙ぐみながらも球児達へ声援を送り、次の年も絶対に応援へ行くと心に誓っていた…。
甲子園関係のニュースを見るといつもそんな懐かしい思い出に浸ってしまうそんな私は、つい最近ひぐちアサと言う漫画家が描いている『おおきく振りかぶって』という漫画を薦められ、無料援交サイトで読んでみることにしたのだった。
『おおきく振りかぶって』は新入生ばかりの、しかも無名の野球部が甲子園出場、そして優勝を目指し成長していく姿を描いた物語である。
野球漫画に限らず、スポーツ漫画の主人公は熱血で求心力があるというのがお約束であるが、この漫画ではその常識が見事に覆される。
主人公である投手、三橋廉という少年は自虐的かつ卑屈、人と目を合わせて話せず、吃りがちに話すという今までのスポーツ漫画の主人公では考えられない性格をしている。
(とは言え、主人公がこんな性格になってしまったのにも過去のトラウマが関係するので仕方がないとも言える。
)また、そんな主人公を支える捕手の阿部隆也という少年もまたスポーツ漫画の主役級のキャラクターにしては冷静すぎるかつ少々曲がった性格をしている。
一見するとデコボコバッテリーであるし、事実物語の序盤ではなかなかウマが合わず互いに苦労する場面がたくさん描写されていた。
しかし個性ある周囲の人物達と触れ合い、話し、互いに互いの事を理解していく上で徐々に信頼関係が生まれていくのをみていると、何だか懐かしいような、それでいて胸が不思議と高揚して熱くなるような気分になるのだ。
実はこの二人、単行本一巻の最後の方で互いに互いを「好きだ!」と叫ぶシーンがある。
最初はなんの気なしに話を読み進めていたがこのシーンを見た瞬間、思わず身悶えてしまった。
腐女子的視点が全くない人からすれば「「若い二人だ。
」と微笑ましく思えるシーンなのだが、如何せん少年が二人きりで告白しあってる場面だ。
腐女子が反応しないわけがない。
実際、バッテリー同士でBL的展開を妄想する腐女子は数多く存在するし、何を隠そう私もこのシーンは思わず「ご馳走様。
」と笑顔で言って今後の展開を妄想してしまったほどだ。
野球についての基礎知識や体の使い方の事、はたまた甲子園についての緻密な描写は読むだけでタメになるし、野球に疎い方が読んでも分かりやすいと人気が出るのも分かる。
しかしところどころに散りばめられた少年同士の本気のぶつかり合い(本来ならば成長するためのぶつかり合いなのだが)に腐女子が反応するのも無理はない。
邪な目で楽しむもよし、純粋に学生時代の懐かしい思いに浸るもよし。
『おおきく振りかぶって』は腐女子的には二重の意味で楽しむことができる良作である。